|
最新ゲームを昔のハードで再現! 水面下で“ディメイク”現象が進行しているワケ
ディメイク(demake)”という言葉をご存じだろうか。映画の世界では、過去の名作を最新の映像技術と旬の俳優を起用してリメイク(remake)することが一般的になっているが、ゲームの世界では最近、このあまり聞き慣れない言葉をちらほらと目にするようになっている(筆者の記憶では、2007年の後半あたりからだったように思う。ちょうど、Xbox 360向けタイトルのラインアップが充実してきた時期だ)。
ディメイクとは、「最新の3D技術を駆使したゲームタイトルが、もしAtari 2600やファミリーコンピュータなどでリリースされていたら……」と想像をめぐらせた人たちが、架空のゲーム画面を描くこと、さらにはもっと進んで旧世代のハードウェア(またはエミュレータ)向けに“移植”する行為を指す。
代表的なものの一つに、瞬間移動ゲートを利用する3Dパズルアクション「Portal」をAtari 2600向けにディメイクした「Super 3D Portals 6」がある。ステージこそ思い切り簡略化されているが、基本的なゲームシステムはちゃんと押さえているのが面白い。
驚いたことに、ゲームメーカー公認のディメイク作品さえ存在する。Electronic Artsの3Dアクション「ミラーズエッジ」を2D横スクロールアクションに衣替えさせた、「ME 2D Beta」がそうだ。ディメイクはこのように3Dゲームを2Dに置き換えるのが最も一般的で、ゲーマーにおなじみのビジュアルをドット画で表現し、新作を成立させている数々の要素のうち、どれを切り捨て、どれを残すかが作者の腕の見せどころになっている。
もともとは単なるお遊びとして始まったのかもしれないが、一発ネタで終わることなく、最新ゲームのディメイクは今も続けられており、話題のゲームがリリースされるたびに、だれかがそのディメイク作品を作ってネット上に公開している。
では、このディメイク現象はなぜ起きているのだろうか。「ME 2D Beta」の作者であるBrad Borne氏に尋ねたところ、こんな答えが返ってきた。「ゲーム業界のスタンダードはすっかり3Dに移行して、2Dは置き去りになっているからね。ゲームの開発手段がだれでも容易に手に入るようになった今、NES(ファミリーコンピュータ)/SNES(スーパーファミコン)/Genesis(メガドライブ)といったハードで遊んで育った僕らは、自分がなじんでいたゲームを再現しようとしているんじゃないかな。可能なことがあれば、やらずにはいられないのが人間だ。昔のゲームは制約が多かったけれど、その中で創造性を発揮することに喜びを感じているんだ」
確かにBrad氏の言うとおりなのかもしれない。しかし、筆者はもう一つの可能性も考えている。制約の多い環境で作り直すことは、最新のゲームの中核をなす要素を再確認するプロセスでもあるはず。作者たちはそのプロセスに身を投じることで、膨大な開発予算を投じた大作ゲームを“征服”したような快感を味わっているのではないだろうか。
|