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好みのヴァンパイアになりきれるアクションRPG
――あなたは武闘派、それとも耽美派?
text by 中島理彦
「VAMPIRE:
THE MASQUERADE BLOODLINES」は、タイトルにもあるとおり、ヴァンパイア(=吸血鬼)が主人公のホラーアクションRPGだ。物語の舞台は、現代のLA。魅力的な異性のヴァンパイアと一夜を共にし、同族にされてしまった主人公は、統率者である“Prince”(公子)の庇護のもと、闇の世界へと身を投じることになる。
ヴァンパイア伝説は長い歴史があるだけに、彼らのイメージは人によってさまざまだろう。映画『アンダーワールド』で華麗なアクションを見せたケイト・ベッキンセールは、たしかにカッコよかった。けれど、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』でトム・クルーズやブラッド・ピットが演じていた、耽美調のヴァンパイアを支持する人だっている。本作の魅力は、そんな自分好みのヴァンパイア像をとことん追求できることだ。
プレイヤーがスタート時に選択する“clan”(氏族)からして、バラエティーに富んでいる。腕っぷしの強い“Brujah”や、獣に変身できる“Gangrel”、容姿は醜悪だが潜伏能力の高い“Nosferatu”、上流階級で話術に秀でる“Ventrue”といった具合だ。7種類ある氏族の選び方によって、プレイスタイルは大きく異なってくる。そしてここが大事なのだが、主人公は敵を倒すことによってではなく、クエストを解決することで経験ポイントを得るのだ。例えば“ギャングのアジトからアイテムを取ってくる”クエストの場合、武器を構えて正面から戦いを挑んでもいいし、ギャングと交渉したり、彼らに気付かれないようにこっそりアイテムを盗んできたりしてもいいのである。こうして得られたポイントは、基本的な能力値のほか、コンピューターのハッキングや解錠などの技能向上のために割り振ることもできる。
また、ヴァンパイアは“blood”(血)を消費することで、人心操作や獣召喚などの特殊能力を発揮する。血は人間から吸い取って補給する必要があるのだが、「自分たちの存在を人間社会に知られてはならない」「攻撃的でない人間を殺せば、内なる獣性に支配されて狂乱状態に陥りやすくなる」というように、行動の制約が設けられている。このルールはもともと、本作のベースとなった、米White
Wolf社のテーブルトークRPG「ヴァンパイア:ザ・マスカレード」を踏襲したもので、ゲームに程よい緊張感を与えている。
グラフィックもなかなかの出来栄えだ。サンタモニカ、ダウンタウン、ハリウッド、チャイナタウンといった、観光でおなじみの街並みが夜の闇に美しく浮かび上がり、背筋がゾクゾクさせられる。また、「HALF-LIFE2」を手掛けたValve社のソースエンジンが用いられていることもあって、NPCは会話の際に豊かな表情や身ぶりを見せてくれる(ただし、HALF-LIFE2ほど自然な出来ではない)。一つ気になるのは、画面があまりに暗くて見にくいこと。プレイの際には、オプションメニューでガンマ設定を一杯に上げておくといいだろう。
ゲーム中のテキストは多めで、俗語もかなり交じっているので、英語が苦手なプレイヤーは少してこずるかもしれない。しかし、主要なセリフは字幕を表示させることができるし、“Quest Log”画面を見れば、現在のクエストの進行状況が一目で分かるので、行き詰まることはほとんどないだろう。全体的に作りはやや荒削りだが、“剣と魔法”とは一味も二味も異なる世界観が新鮮だ。今までとは毛色の違ったRPGを遊んでみたいという人に、お薦めの作品である。
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